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アニュアル・レポートの3分間バトル

このほど英国IR Magazine誌は、同誌が選んだベスト・アニュアル・レポート40誌を対象に「3分間テスト」なるものを行った。3分という短時間にどれほどうまく自社の魅力や競争優位性を伝えられるかを評価するものである。起業家が投資家から資金を獲得するために行う「エレベータ・ピッチ」※と同じ発想である。さて、レポートの作り手と読み手の「3分間バトル」の勝利を決定付けるものは何なのか?
最高得点を獲得したのはコミュニケーショングループ大手の英国WPP社。冒頭に「早読み」セクションを設け、事業の内容、経営の考え方、当期の概況を簡潔かつわかりやすくまとめている。インパクトのあるタイプフェースと歯切れのよいワーディングで、読者の関心を引き寄せることに成功しているのはニュース配信大手のロイター社。いずれも表現やデザインで読者の視点を誘導している。
内容ありきの直球勝負も読者には響くらしい。余計な情報を省いて投資家が求める情報にフォーカスしたのは建材大手Woleseley社。「今日の顧客ニーズが未来の組織を創る」とのコピーで始まるCEOメッセージは、1ページで業績総括、組織改変、配当、ボードなど必要最小限の内容が簡潔に語られる。CEOが経営のグランドデザインを提示し、各事業のトップが詳細を語る展開である。
壮大な夢の実現をアニュアル・レポートという小世界に纏め上げているのはIR優秀企業の常連であるGE。エコマジネイション(ecomagination)といわれる社会・環境に配慮した経営観を全面に出す展開が、CSR重視の経営姿勢の表れであるとの意見と、新手のPR手法であるとの意見に分かれたが、高度な表現的技巧と明確な戦略が完成されたストーリーとして読者に語りかけてくるのは確かだ。

※ Elevator pitchとは、エレベータが目的階に着くまでの短時間で、自分のアイデアを的確かつ完結に伝え、「続きが聞きたい」と思わせる効果的なプレゼンテーションを行うこと。


山本章代(アレックス・ネット株式会社 取締役)
海外企業のIRに詳しい。宣伝会議の「PRIR」誌に「海外企業のアニュアルレポート解説」を連載。(2005年4月〜2006年4月)

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2006年10月24日 16:02に投稿されたエントリーのページです。

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