海外ロードショー・レポート(米国編1)
クライアントにアテンドしてニューヨーク、ボストン、シカゴの機関投資家を訪問してきた。ニューヨークではヘッジファンドを含む4件を訪問。いわゆる「有力投資家」と言われる大手機関投資家の中に、ヘッジファンドが顔を見せ始めたのはここ数年の傾向だろうか。株主判明調査会社にもプロファイリングされていない会社が続々とファンドを立ち上げ始めている。
前回訪問時からの変化や足元の業績に話は集中する。質問は極めて単純明快。日本のアナリストのような微に入り、細にわたる質問は皆無である。彼らが細かいデータを分析しない訳ではないが、それらはメールや電話によるヒアリングでも可能だ。売上は上がったか、利益率は改善しているのか、といった根本的な問いかけに対し、トップがどのような表情で答えているかをじっくりと観察しているようなのだ。かつて、外資系運用会社のファンドマネージャーが、「我々は企業のファンダメンタル(実態)を肌で感じるために、わざわざ海外から日本の経営者に会いにくるのだ」と言っていたのを思い出した。
15年以上前のことになるが、かつて米国機関投資家は「アクティビスト」と言われていた。その時代は確かに「対話」より「要求」をつきつける投資家が多かった気がするが、未成熟な日本の資本市場に痺れをきらした彼らの厳しい言動が、国内では過敏に受け取られた可能性はあるだろう。少なくとも今回ミーティングで出会った投資家は決して過激ではなく、資金提供者あるいは企業のサポーターとして求める企業価値についての深遠な思考の持ち主であった。次回は彼らの興味深いコメントを紹介したいと思う。
山本章代(アレックス・ネット株式会社 取締役)
海外企業のIRに詳しい。2005年4月から2006年4月まで、宣伝会議発行の「PRIR」誌に「海外企業のアニュアル・レポート解説」を連載。