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東京モーターショー、水面下のバトル

 先週末から「東京モーターショー」が開催されている。日産の「GT-R」の復権が、今回のモーターショーの目玉の1つであることは、様々なマスコミが報じている。ゴーン社長の得意満面な笑顔とともに、新型GT-Rが登場するVTRを見て、「これは本気だ!」と、私は感じ入ってしまった。

 しかし、気がかりな新聞記事を目にした。2005年の前回に続いて、米ゼネラルモーターズ(GM)など米国メーカーの首脳は、開催に先立って姿を見せなかったとのことらしい。日本での販売不振がその背景にある。米国メーカーのターゲットはずばり「中国」。確かに、中国を始めとした新興国のモータリゼーションは今始まったばかりで、爆発的な販売台数を誇っている。いまや、世界のクルマメーカーは、中国市場を無視できない存在といえよう。その中国で好調なのがGMである。むしろ、その目は、上海モーターショーや08年初めのニューデリーショーにいっているとのこと。東京モーターショーが、デトロイト、フランクフルトと並ぶ3大モーターショーといわれて久しいが、その「東京モーターショー」のポジションが、GMを始めとした米国メーカーの動きから危うくなるという懸念だ。

 米国勢からは上海モーターショーと統合してはどうかなどという「打診」らしきものまできているらしい。同時期に2つの都市で開催するのは、現実にはかなり無理があるなとは思うが、日本の国内販売の不振が続くようであれば、外国勢は少なくとも、自社の販売が好調な新興国にセールスの軸足を動かすのは自明の理である。そうなれば、東京モーターショーに参加する理由もなくなる。東京モーターショーといえば、コンパニオン等の色気とは別に、メーカー同士のコンセプトカーのバトルが入場者・マスコミ関係者の楽しみでもあったが、それも、市場規模が大きい新興国に奪われていくのかなぁという思いがある。

 最も、今回のモーターショーでは、クルマ復権へ「性能」「環境」などといった新聞での見出しをみると、国内の自動車販売はメーカーの見通しよりもかなり下振れしている状況が見て取れる。また、20-30代の若年層のクルマへの消費が落ち込んでいるらしい。

 この背景にあるのは、若年層も含めた人口の都市部への集中し公共交通機関が発達したことによってクルマでの移動自体が少なくなってきたこと、原油高騰に伴うガソリン代の上昇、そして高速道路の利用料金等が高止まりしていること等が考えられる。また、クルマを持つこと自体に対するステイタス性もなくなりつつあるらしい。あるアンケート結果によれは、「クルマはデートの必需品」という回答はわずか1%とのこと。確かに都心であれば、別にクルマがなくても、エンターテイメントを楽しむことは十分にできる。クルマをもつことが夢であった私達の世代からすると、この現象はいささか奇妙に映るが、これが、昨今の若者の姿らしい。クルマメーカーの苦悩とは、若年層に対して、クルマをもつ楽しさや喜びから醸成していかなくてはならないというセールスの前の啓蒙活動も含まれるというところにあるのかもしれない。

 今回の東京モーターショーでの各メーカーからのメッセージが、今後どのように企業戦略として進化し結実していくのか、注意深く見守っていく必要がある。それは、クルマという消費財だけではなく、あらゆる消費財にあてはまるケーススタディとなるからだ。

 それは、市場規模では、明らかに新興国の方が日本よりも上回る時代がくる。その時、日本はどのような対策を打つべきかというケーススタディだ。ユニバーサルデザインといわれて、新興国マーケットの動向に追従した製品・サービスが氾濫してしまうのか、それとも独自の技術や文化を醸成し新たな価値を輸出する国としてあり続けるのか、クルマメーカー各社を通じ、どの戦略が最も企業価値を高める方策となるのかを見極めたいと思う。


大坪和博(アレックス・ネット株式会社 取締役)
『金融から怪獣』をIR目線で日々研究してます

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2007年10月29日 11:27に投稿されたエントリーのページです。

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