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「経営権のオークション」:経営者はこの緊張感に耐えられるか?

今更ではあるが、上場の意味を考えるこの頃である。先日、M&A関係のセミナーで、「上場とは経営権をオークションに出すことである」と、外資ファンドへの警戒感を強める日本企業に対しての苦言を呈する講師の言葉を耳にした。上場という大舞台に上がった時点から、経営者はさまざまなオーディエンスの「値踏み対象」となることをあらためて意識させる印象的なフレーズであり、まさに「言い得て妙」であった。経営者は常に「経営権」をめぐり、マーケットと対峙する緊張感が必要であるというメッセージである。

かつて小泉首相は参院選での民主党の圧勝に対し、「民主党はこの勝利に耐えられるか」との「名言」を残した。勝利に耐えうる資質が備わっているかということだ。東証の「上場制度総合整備プログラム」は、まさに上場適格性を厳しく問う内容であり、時代遅れの上場制度に助けられて上場を維持してきた企業は、「退出」せざるを得ない状況となってきた。最近のMBO企業の中にもかなりの「退出組」が含まれているが、もうそろそろ限界という「予備軍」もかなり存在しているように思う。

東証は、今年7月に整備プログラムの具体的指針として、流動性基準の大幅な見直を打ち出している。投資家保護の観点から、不特定多数の投資家が、まとまった単位の株式を容易に購入・売却できず、十分な流動性が期待できなくなった銘柄については上場廃止となる。新たに導入される基準の一つは、上場株式数から非流動分の株式数(役員所有分+10%以上所有株主所有分+自己株式)を引いた『流通株式数』基準であるが、これによって投資家は売買とモノ申す機会が増え、経営者や上場という「舞台」はますます「活気付く」ことになろう。

資本政策を策定するにあたっては上場前が肝心という。しかし「経営権の確保」や「上場利益の実現」など様々な観点から株式の所有割合を決めたとしても、一度上場してしまったら、経営者と投資家が同じ土俵で経営権と利益を追求することになる。経営者はこの緊張感に耐えられるか。

東京証券取引所「上場制度総合整備プログラム」:http://www.tse.or.jp/rules/seibi/index.html


山本章代(アレックス・ネット株式会社 取締役)
海外企業のIRに詳しい。宣伝会議発行の「PRIR」誌に「海外企業のアニュアル・レポート解説」を連載(2005年4月~2006年4月)。

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2007年11月10日 15:09に投稿されたエントリーのページです。

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