前回、外国人の日本株売買状況について記載したが、今回はさらに絞り込んで新興市場における外国人の売買状況・株式保有状況について記載したい。
まずは、その前に前回8月末までに6兆円以上の買い越しとなっていた外国人の日本株売買状況だが、その後10月末までの状況としては、9月4944億円の売り越し、10月5041億円の買い越しとなり、累計差し引き状況は8月末の時点の状況と大きな変化はない。2007年も残すところ2か月だが、外国人の買い越し状況および保有比率トップは昨年に引き続き継続する公算が高い。特に保有比率については、これまでの買い越し状況や他の投資部門で目立った買い越しが見られないことから30%を超える水準も見えてきている(昨年は28%)。
さて、では本題の新興市場における外国人の日本株売買状況はどのようになっているのか。参考になるデータは今年から東証が集計を始めた東証マザーズ株式売買状況ぐらいしか今のところ私は知らない。従ってこのデータを参照すると、やはり日本株全体の売買動向と同様に外国人の買い越し状況が際立っている。
東証マザーズ投資部門別売買差し引き金額
東証マザーズにおいても外国人投資家は約1000億円の買い越しとなっており、他の投資部門がほぼ売り越している中、一人気を吐いている状態だ。特にかつての新興市場の盛り上げ役であった個人投資家離れが顕著となり、個人投資家が大幅売り越しとなっている中では貴重な買い手と言える。
では個別に新興市場株の海外機関投資家保有状況はどのようになっているか?
ここで独自に調査した資料をご紹介したい。当社では新興市場で四季報データから外国人保有株比率が1%以上の銘柄のうち556社について調査したところ、実際に保有している海外投資家を特定できた企業は298社であった。本来はすべて確認できてもおかしくないはずだが、ヘッジファンドなど保有事実を明らかにしたくない投資家は届け出をしないケースも多く、6割弱の確認しかできないのであろう。その中で最多の保有投資家数が確認されたのが楽天で105の海外投資機関に保有されている。以下20位までをランキング表にしておくのでご参照いただきたい。
新興市場の保有海外投資家数上位20社
当社でも海外投資家の保有株状況を把握できるサービスを取り扱っているが、現在このようなデータを入手することが比較的容易にできるようになっている。
新興市場の企業の中には、「IR活動の対象は個人投資家」と決めてかかっているような企業もあるようだが、実際には個人投資家は大幅に売り越しており、実際の買い手が外国人投資家であることが見過ごされているように思われる。株価低迷を課題に置かれている新興企業のIRご担当は一度これまでの常識をフラットにして、課題に対して有効なIR活動を行うには誰にどのような活動を行うべきかを今一度再考されてみてはいかがであろうか。
宮部 明郎
大手証券会社、トムソンコーポレーション、FISCO、IFISjapanを経て、2007年より当社に参画。
投資情報とIR情報は表裏一体の関係であり、投資家、発行体企業双方にメリットのある情報発信手法を目指し、奮闘中。主な著作に「相場への新たなるアプローチ」(共著)。