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2007年12月 アーカイブ

2007年12月07日

IR担当者の質問に関する実態調査(NIRI IR UPDATE 11月号より)

Q:近年CSR(企業の社会的責任)が投資家の投資判断の際に重要な決定要因になってきているとよく聞くようになりましたが本当ですか。

このようなIR担当者からの質問がNIRIに数多く寄せられるほど米国ではメディアを中心に重要課題として取り上げられIRでも注目を浴びているCSRだが、実態はどうなのだろうかという記事を今回の注目記事としてご紹介したい。

調査会社であるRivel社の調査によると投資家が投資判断においてCSRを重視する(唯一の)ケースは、ある企業が自社の事業活動により社会環境への悪影響を抑えられる上に当該企業が明確にその地域・領域での悪影響の原因であると特定される場合であるという。
調査対象である全米243人のポートフォリオマネージャーが投資判断の際に重視する項目としてあげたランキングでは、経営陣の信頼性(77%)・有効な事業戦略(74%)・一株あたり利益の成長性(69%)などの上位項目に対し、CSRは10項目の選択肢中で最低の4%に過ぎなかった。
事業分野別に見た場合でもバイサイドは、CSRを10項目の最下位に位置づけており、最も重視するセクターでも12%に過ぎなかった。伝統的にCSRが重要な課題と言われる化学や採掘などの素材産業が最も多くの投資家が重視すると答えたセクターだったが、その場合でも投資家は環境影響などをリスクとして認識して投資しておりバリュエーションの際にディスカウントをかけているレベルで気にしているに過ぎない。
CSRの意義は企業の本質的価値への信頼を支え、マネジメントの信頼性を脅かす脅威に対し防波堤となることであるという。CSR戦略自体は単独で最優先事項としてアピール材料にはならないものの、IR担当者はプロの投資家が期待するような答えを即座に自信をもって答えられるように精通しておくことが必須のトピックであるわけだ。

翻って日本では、相次ぐ食品偽装に見られる消費者を始めとするステークホルダーへの背信行為とその影響を受けた株価の大幅な下落がCSRをめぐる問題として記憶に新しい。今後日本企業のCSRについて海外機関投資家がバリュエーションを行う際にはディスカウントの算定根拠としてこの問題が影響することは容易に想像できる。
今回の調査結果を受けて自社のCSR対応の遅れが大きな問題ではないと安堵したIR担当者はまさかいないとは思うが、危機管理時代の経営・IRであることには何ら変わりがないばかりか日米ともに重要性は今後さらに増していくと考えるべきであろう。

Hiroshi(アレックス・ネット株式会社 IRプロデューサー)
戦略系コンサルタントの経験を活かし、分析を踏まえた独自の視点からステークホルダーとのコミュニケーションを支援。

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2007年12月18日

「税理士卵ブログVer.2」

続くサブプライム問題・・・。日本の金融機関でも海外の金融機関のサブプライム問題に準じる形で影響が生じているが、そもそも震源地であるアメリカの金融機関が巨額の損失を出してまで、サブプライム債券の価格計算式を見直さねばならないのは理由がある。それは11月15日から、アメリカでは金融機関の会計基準が一部改められたためである。その内容は、資産評価を複数の区分を設けてそれぞれに評価する会計基準で、その区分分けは以下のとおりである。
レベル1資産:価格が市場で確定できる資産
レベル2資産:独自の計算式の推定価格と、確定した価格が混在している資産
レベル3資産:独自の計算式を使った推定価格を算出している資産(市場価格算定が困難で、取引も活発でない)

上記の会計基準はFAS157号であり、この基準は新しい会計処理を定めるものではなく、さまざまな会計基準の中に登場する公正価値(時価)の決め方を、統一的に、かつ厳格に定めようとするものである。金融機関が保有するトレーディング目的の有価証券(当然サブプライムローンを組み込んだような証券も含まれる)は、時価評価される。その時価の決め方が、11月15日以後の開始事業年度から厳しくなるということで、最近の大手金融機関の決算はこぞってこのような形になったものである。

サブプライム債権はレベル3資産に該当する。11月15日以後の開始であるため、それ以前の金融機関の決算(3月が決算日であれば中間決算)では、約20%程度ディスカウントした評価が大半であるとのことである。よってサブプライムローンの状況によっては、今後の通期の決算にも影響が出てきそうである。


今野 祐希
会計・税務の目線でIRを斬る税理士の卵。趣味はツーリングとサーフィン。

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