2008年01月08日

最終回 中国の法規[2]

  中国は「法治」国家ではなく、「人治」であるとよく言われている。近年は法体制の整備が進められ、大きな進展があったと評価できる。

 中国の法律、法規は四階層に分けることができる。

①法律(全国人民代表大会常務委員会→日本の国会に相当する)
②行政法規(国務院→日本の内閣府に相当する)
③部門規章(中央各部・委員会→日本の各省に相当する)
④地方法規(各省の人民代表大会→日本の県議会に相当する)。

 例えば、皆さんが注目している中国食品問題に関する法律・法規(メイン部分)は次のとおりである。

①『中華人民共和国品質法』、『中華人民共和国標準化法』、『中華人民共和国消費者権益保護法』、『中華人民共和国農産品品質安全法』、『中華人民共和国輸出入商品検験法』
②『国務院関於加強食品等産品安全監督管理的特別規定』、『中華人民共和国輸出入商品検験法実施条例』
③『食品生産加工企業品質安全監督管理実施細則(試行)』、『農産品産地安全管理弁法』
④『広東省食品安全条例(制定中)』

 このような取組みにより、中国の法体制は健全化に向け、かならず先進国と同様になると確信している。

さて、これをもって私のブロクを終了させていただきます。
長い間ご覧になってくださり、ありがとうございました。


未来

2007年10月21日

中国の法律・法規

 ちょうど去ったばかりの今年の夏、日本中の週刊誌、新聞、テレビなどではほとんど毎日のように中国食品問題について報道していた。特に7月8日に北京テレビが使用済み段ボール紙を煮込んで詰めた肉まんが北京市で販売されていたと報道したことにより、この議論がピークに達した。
 実際、中国食品問題は昔から延々と議論されてきた。中国から輸入した野菜、茶葉などには、度々残留農薬問題が起こっていた。もちろん、中国政府も決してこの問題を無視していたわけではなかった。2001年12月のWTO加盟により、中国政府は既に製品の検査・検疫・品質を重要視してきた。
 まず、旧国家質量技術監督局及び旧国家出入境検験検疫局を統合し、新たに国家質量監督検験検疫総局を設立した。総局の下で認証・認可及び標準化行政を行う二つの委員会が設置された。この二つの委員会は、国家認証認可監督管理委員会と国家標準化管理委員会である。国家標準化管理委員会の管理の下で、国家標準(GBと略称)、業界標準、地方標準、企業標準が制定され、市場に販売される商品には必ず製造標準を表示しなければならなくなった。また、中国国家標準に基づいて製造された一部の製品は強制性認証(CCC認証)を受けなければならないこととなった。自動車の燃料タンクを中国に輸出する場合がその一例である。
 報道によるとこの夏の教訓を受け、中国政府部門は様々な面で品質問題に全力で取り組んでいるとのことである。これら法体制の完備に伴って、中国の品質問題が良い方向へ向かうのは間違いないだろう。
 (今月は中国の法律・法規。次号につづく)

2006年09月22日

中国の都市と農村 その2

 改革開放以来、中国都市部の発展は著しく、農村との差が拡大しつつある。そのため、農村部から大量の人口が都市へと移動し、都市と郊外の境で臨時住所を持ち、いわゆる「城郷結合部」(都市と農村との合流地区)を形成している。
 この現象は中国全土の都市部に現れているが、大都市と沿海都市で特に多くみられる。
主な問題としては次の三点を指摘することが出来る。
 まず、犯罪が頻発している。第二に、医療衛生が保障されていない。第三に、子供が入学できないために通常の教育を受けることが出来ない。例えば、ずっと最近まで、北京の戸籍を持ってないと、北京の正式な学校に入学することができないのである。中国の戸籍制度により都市と農村の住民が厳格に区別され、戸籍の移動は至難のことである。
 また、近年、都市市内の住宅の価格が一直線で上昇しているため、家賃も高くなった。出稼ぎの農民にとって、都市中心部にある住居を借りるのは無理なことである。したがって、皆この「城郷結合部」に集中してきた。彼等は、昼は市内に行って、現場の仕事をしたり、小物を売ったりしているが、夜は郊外の住居に戻る。もちろん、真面目な人も沢山いるが、定職がない人、売春婦なども少なくない。 このような不安定な環境の中、「城郷結合部」は段々都市の「悪性腫瘤」となってきたのである。
(今月は中国の都市と農村。次号につづく)

2006年09月12日

中国の都市と農村 その1

 先月30日、中国国家統計局の発表により、中国の経済は三年連続で二ケタ成長が続いた。しかし、この経済成長のマイナス面もいろいろと出て来た。
都市と農村の問題はその一つである。ここでは、近年大きな話題となった「地溝油」を取り上げ、都市と農村の間に存在している問題を説明していこうと思う。
「地溝油」とは廃水から収集した油のことである。もともとは都市近郊の農民或いは出稼ぎ労働者がこの油を下水道から回収して、精錬した後、工業用油として販売していた。これは法律の許容範囲内のことであるため、全く問題がない。また、エネルギーに困っている中国にとって、ありがたいことでもある。かなりの農民がこれによって生活を成り立たせていた。だが、問題はこんなに簡単ではない。
経験のせいか、技術進歩のせいか、一部の農民はこの油をさらに精錬して、食用油として密かに販売し始めていた。この油は見た目では普通の食用油とあまり変わらないが、実は発ガン物質など身体に有害な物質が大量に含まれている。一部の小さな飲食店などはこの油を買って揚げパンを揚げたり、料理に使ったりしていた。
これに対し、中国の各地政府は厳重な取締りをしたが、なかなか根絶することができない。工業用油として売ると、1トン約2,000元になるが、食用油として売ると、3,000元以上になる。“見利忘義(利益に目がくらんで正義を忘れる)”で形容されるように、一部の農民が都市の影の中で暮らしながら、無法かつ無謀なことをしている。
(今月は中国の都市と農村。次号につづく)

2006年07月26日

中国の教育事情その4

国家の優遇政策により、帰国した留学生の数が年々増えてきた。
しかし、中国のことわざ「魚目混珠」(魚の目玉を真珠の中に混ぜる)が形容したように、海外の学位制度を利用して、あまり学問を身に付けていない者もぼつぼつ出始めている。
特に、海外で留学生の学位が取り易い制度を悪用する者、或いは学術論文を偽造する者が度々あばかれた例がある。
中国の最高学府北京大学と清華大学にもこのような者が現れた。去年11月、アメリカから帰国した清華大学医学部劉×が、他人の論文を自分の研究成果のリストに載せることがばれて、清華大学から除名された。
上述のような信用問題と連年増加する帰国留学生の数などのせいで、最近「海亀派」でも就職がみつからない者もでてきた。これも四声の話につながるが、中国では就職待機する一文字の「待(dai)」を「帯(dai)」に置きかえて「海帯」という言葉が生まれている。「海帯」のそもそもの意味は昆布のことで、就職が決まらず社会という海の中に漂っている状態を言う。
(次号からは中国の都市と農村)

2006年06月23日

中国の教育事情その3

中国でも日本と同様、大学を卒業しても就職がなかなか決まらない事情は前回お話ししたが、かつてはエリートの代表だった留学組みも就職は簡単ではなくなってきた。
中国では留学からの帰国者を「海帰派」と読んでいたが、発音も四声も同じの「海亀派(Haiguipai)」とよび、ふるさとの海岸に帰るウミガメにたとえて呼ぶようになった。
元々「海亀派」の中には博士学位がある人は「洋博士」と呼ばれる。彼らは国の優遇政策により、たくさんの恩恵を受けた。例えば、ほとんどの大学が帰国する博士に3DK以上の住宅を与え、また、引越し手当も支給される。もちろん、博士の家族も適切に安置され、子供の進学なども全然心配することがない。
日本では、博士学位をとって大学に教職を得た場合、まず助手からやるのは普通であるが、中国ではすぐ教授として招聘される場合はかなりある。そうではない場合、少なくとも常勤講師、助教授になれる。しかし、近年、事情はだんだん変わってきた。(今月は中国の教育事情。次号につづく)

2006年05月09日

中国の教育事情 その2

中国には約700校の4年制大学がある。この中では北京大学、清華大学、復旦大学、浙江大学などが最も有名で、日本の東大に入るのと同じくらい難しい。
1977年に中国が大学受験制度を回復してから30年近いときを経て、大学は大きく変化した。一つは、大学生の数。前世紀の八十年代、ほとんどの普通の4年制大学では在校生が5千人未満であったが、現在ではどこも万人大学を目指している。
二十数年前、筆者の母校の在校生は3千人前後だったが、今では12,000人いると言われている。
すでに新聞などで指摘されたとおり、中国大学の教育問題の一つは目標なしに学生を募集していることである。専攻などの設置が変化しつつある中国の社会情勢に合わないため、卒業生の就職が大きな社会問題となっている。
二十年前は大卒であればほぼ確実に公務員になれたが、いまでは大卒が公務員になるのがなかなか難しいため、ほとんどの人は自分で職を探すという道を選ぶしかないのである。 
現在の中国ではかなりの卒業生が就職できずに街中でぶらぶらしていると言っても過言ではない。(今月は中国の教育事情。次号につづく)

2006年04月25日

中国の教育事情 その1

今、中国では大学卒業生の就職問題がかなり議論になっている。まず、一つには大学生の給料問題がある。大学の校門を出たばかりの大学生の給料は普通どのくらいであるのかについて調べて見た。
大学生の給料には「大学の差」(有名大学と普通大学の差)、専攻の差(IT、金融や物理などと歴史などの差)と「地域の差」(北京、上海、深圳と地方都市との差)が存在している。
まとめて見ると、北京市の大卒の初任給は1,500〜2,000元程度である。もちろん、IT、金融関係の卒業生で3,000〜5,000元程度もらっている人もかなりいるが、たくさんいる中国大学卒業生のまだ一部分だと言える。
ちょっと悲惨な例をあげてみよう、北京師範大学中国文学学部を出たある博士は様々な面接を終えて、最終的にとりあえずとある出版社に就職した。初任給はたったの1,400元。ちなみに、北京人材市場の博士の給料は5,000元と言われている。
(今月は中国の教育事情。次号につづく)

2006年03月31日

社会事情−4

中国語のホームページを見たことがある人は多分次のような経験をしたことがあるだろう。
まず、中国大陸の簡体字のホームページを見る場合、簡体字中国語のフォントのダウンロードから始まる。一方、台湾と香港の繁体字のホームページを見る場合は繁体字のフォントをダウンロードする。
この二種類のフォントがあれば、ほとんどの中国語のサイドを見ることができるが、たまに文字化けが発生することがある。
この場合には「Internet Explorer」の「表示」の「エンコード」から「簡体字中国語(GB2312)」と「簡体字中国語(GB18030)」或いは「繁体字中国語(Big5)」を選ぶと、文字化けを解消できる。
では、このGB2312、GB18030とBig5とは一体何であろうか?
GBとは中国語の国家標準(Guojia Biaozhun)の略で、GBの後ろの数字は標準の番号である。「標準」は日本の「規格」と同じ意味だと理解してもいいが、中国の標準には強制性標準というものが存在していることを忘れてはいけない。GBはまさに強制性標準そのものである。
中国に輸出する或いは中国市場で流通する商品であれば、必ず強制性標準に従わなければならない。GB2312は1980年に制定された文字コードで、GB18030は2001年から採用されたGB2312の上位文字コードである。Big5は台湾で制定された繁体字文字コードである。中国語の文字コードはいろいろあるが、以上のことを覚えれば、十分だと思う。
(次号からは中国の教育事情)

2006年02月25日

中国の社会事情その3

中国方言の中で有名なのは広東語とミン南語であるといえる。中国の広東省と香港は広東語の流行地区で、福建省の南部と台湾及びシンガポールはミン南語の流行地区である。中国大陸全土では北京語(普通話)が普及しており、ほとんどの人(一部の少数民族と山奥に住む人々を除く)が北京語を自然に使っている。ただし、中国南部には方言が多いため、現地に住む人々の間の日常会話は方言を使う場合が多い。ほかの方言しか話せない人と会話する時には皆共通語の北京語を使う。台湾では国語教育が進んだ結果、かなりの人が北京語を話せるようになったが、文字は繁体字を使っている。
一方、香港はちょっと事情が違う。1997年、中国に返還する前の香港の標準語は英語で、人々の日常会話では広東語が使われていた。普段は英文以外には繁体字を使う。また、広東語自体が文字を持っていないため、一部の小説、漫画などでは広東語で表現したい時に口語字という当て字(繁体字と外字)を使っているものもある。1997年以後、香港では母語(中国語)教育に力を入れ、今日までにかなりの成果を得た。しかし、現在も英語と広東語が優位にあり、漢字のほうもまだ繁体字を使っている。流れとしては、今後北京語と簡体字がさらに香港の社会に浸透していくのは間違いないが、香港各大学の英語授業の事情と広東語の伝統から見れば、かなりの歳月が必要になるであろう。