今、世界の中で社会主義の国はほんの僅かしか存在しない。中国はその中でも、国土が広大でかつ最も社会主義を貫いている国である。しかし、八十年代から中国の社会主義は新しい段階に入った。これは_小平氏が1982年9月に提起した「中国特色の社会主義」である。「中国特色の社会主義」はマルクス主義の普遍的真理と中国の具体的現実を結び合わせて、中国が自ら創り出した社会主義であると言われている。この「中国特色の社会主義」の最大の特徴は「市場経済」の導入だと言えよう。農村部では「人民公社」が崩壊し、代わりに「生産請負制」が導入された。元々「市場経済」は資本主義特有のものと認識され、社会主義とはまったく相容れないと考えられていた。簡潔にいえば、毛沢東時代では絶対に許されない「私」という観念をこの時に全面的に認めたのである。この市場経済を導入した結果、中国の経済は大きな成功を収めたが、過去に提唱された「公」の精神が大きい打撃を受けたのも無視できない事実である。今、個人主義の膨張、共産党幹部の腐敗などにより、社会主義の中国が有史以来最大の困難に直面しているのは確かである。(今月は中国の政治事情。次号につづく)