ご愛読ありがとうございました。
アナウンスが遅れまして恐縮ですが、
前回投稿にて、当面休止させて頂きます。
先日、北陸に講演に言った際にも、
「ブログいつも読んでますよ。」と声を掛けられ、
嬉しく思っておりました。
再開の折にはよろしくお願いたします。
永野 満
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永野 満
2003年4月に大底を打って以来、株式市場は上昇を続けてきましたが、ここにきて大きな節目に来た感があります。これまでデフレ脱却をテーマに内需株を中心に上昇してきましたが、そのバックボーンとなる量的緩和政策が本年3月に解除され市場にだぶつく資金の量が減少してきています。また、次のステップとしてのゼロ金利政策の解除もそこテンポも速まりそうな展開となっています。さらに、為替レートも日米金利差の縮小から円高に転換しています。
このような株式市場を取り巻く経済環境は徐々にマーケットに対してアゲインストな方向に変化してきているように思えます。するとこれまで株であれば上昇するといった局面からセレクトされたものしか上昇しなくなる局面になることも考えておかなければなりません。
株式市場にフォローの風が吹いていたときには、通り一遍のIR活動で済んだかもしれません。それほど練りに練ったIR活動を行なわなくても株価が上昇したからです。しかし、これからはそうはいかないと思います。前提条件が違ってきたからです。投資家にアピールするようなIRが一層必要になってくると思います。投資家の印象に残るようにするためには、相手の欲しがっている情報を整理して印象に残るように料理してだす必要があります。アナリスト、ファンドマネージャーは忙しいため十分に整理された情報を評価するからです。いくら素材がよくても料理が下手では素材の良さも引き出せなくなります。IRも料理と同じです。素材をどう生かすか、IR会社の腕の見せ所といえます。
3月決算の発表がこれから本格化します。持ち株の業績はどうだったのか、また、経営者は今期の業績をどのようにみているのか気になる季節がやってきました。投資家が決算の数字に一喜一憂する時期ともいえます。
この業績発表の後、決算説明会がおこなわれ、その感触からアナリストが独自の業績予想をだします。アナリストの書くレポートには、業績予想を踏まえ買いとか持続といった投資判断やどの程度マーケットをアウトパフォームすると考えているかの判断が付いていますから、ファンドマネージャーにとって参考意見として重要なのです。当然のことながら企業の業績発表とアナリストの決算説明会後にだすレポートの間には時間差があります。アナリストがレポートをだすまでは、企業が発表した予想数字が、決算発表直後唯一の判断材料になります。
この予想数字ですが、先行き何が起こるかわからない上に予想より悪い結果になったら投資家に申し訳ないといったことから、一般的には発表数字はどうしても固めの数字になりがちです。景気の屈折点が近くなると思えばさらに保守的な予想数字となります。このように決算予想の数字の特質を考えると景気の拡大期には予想数字は最低ラインといった意味合いが強いと思います。このような予想数字の特殊性を考えずに発表された決算数字を鵜呑みにすると、投資のチャンスを失うことになりかねません。
ですから会社の予想数字の前提条件を分析したり、決算の予想数字を解釈するにはある程度の年季が必要なのかもしれません。ここにアナリストの価値の一部があるのです。
2007年から団塊の世代の退職が始まります。俗に言う「2007年問題」です。団塊の世代の一人として、もう退職する年代になっているのかと時の早さに愕然としています。どうやら年をとるほど時間が速く経ってゆくように思います。団塊の世代とは、1947(昭和22)年から1949(昭和24)年の間に生まれた世代で、約700万人いるそうです。
その団塊の世代の退職金ですが、退職一時金と年金を合わせた支給額は一説には年17−18兆円といわれています。これが3年間ですから、3年間の全支給額は50兆円強になります。全額、退職一時金で支払われるわけではありませんが、団塊の世代はキャッシュリッチになるはずです。50兆円は、GDPの約1割ですから、かなりの金額です。
この50兆円のうち、全てが消費に回りませんが、たとえ1割が消費にまわるとしても3年間で5兆円です。この金をどのように使うかです。これまでにやりたくてもできなかったことを行うために、また、区切りをつけ記念となるようなことをするために使うといろいろ考えられますが、残りの人生をエンジョイするための資金となるのではないかと思います。
生まれてこのかた競争、競争で来たのですから、この団塊の世代の退職金はこれまでにない豊かな精神活動をもたらす消費活動に結びつく可能性があると思っていますが、どうでしょうか。
マーケティング戦略の基本は“誰に”、“何を”、“どのように”売るのかを考えることではないかと思っています。この3要素を考えれば最適なマーケティング戦略が打ち出せると思っています。
このマーケティング戦略の基本をIR活動にあてはめてみましょう。“誰に”は機関投資家、証券アナリストや個人投資家が相当します。次の“何を”ですが、これにはいろいろありますが、企業の現在の経営状況、将来の事業計画やキャッシュフロー、その計画に付属するリスクがあたると思います。この“何を”ですが、株価の理論値を考えて見ましょう。皆さんご存知のように株価の理論値は、一株当りの配当金(利益・キャッシュフロー)を(金利−成長率)で割ったものです。企業価値を上げることを株価の上昇と考えると、この株価の理論値の分母を下げるか、又は(かつ)、分子を増やせばよいことになります。企業の実態と計画を説明してこの分子を増やしたり、分母を小さくして株価を上昇させることがIRの目的ですから、“何を”には分子を増やしたり、分母を小さくする一切の方法やプロセスがはいることになります。具体的には分子に相当する企業の現在の経営状況の結果、キャッシュフロー等がこれにあたりますし、その成長率が分子に相当します。
次に“どのように”ですが、これが決算説明会であったり、会社説明会であったり、ホームページの開設であったりするわけです。この“どのように”は“誰に”対して行うかによって方法は違ってきますし、“何を”の内容も当然異なってきます。個人投資家でしたらホームページの充実が優先するというようにです。
この“誰に”、“何を”、“どのように”を考えることがIR戦略ではないでしょうか。
前回、確定拠出年金における投資教育の重要性について述べましたので、今回は労働組合で行った投資教育について延べてみます。やや古い話になりますが、2004年の初夏にある労働組合で講演をしました。
2004年の4月に株式市場は大底を打ち反騰を始めた時期です。その企業では確定拠出年金を導入しており、確定拠出年金の導入時に会社側が一般的な投資の原則である、分散投資と長期投資の効用についての説明をしましたが、実際に何に投資をしたらよいか判らないため、従業員に対する福利厚生の一環で講演を頼まれたのです。そこで投資の基本である「どのようなときに何に投資をしたらよいのか」ということをテーマに話ました。簡単な経済関係のグラフと株式、債券の関係を提示しこの状況のときには株式の投資効率が高くなるとか、金利が上昇しそうな時には、償還までの期間の短い債券の方がよいとか、いたって基本的なことを話しました。そのときに「投資には王道」はない。基本に忠実で地道な努力が必要であること、興味をもって経済を見ることが大切であることを強調しました。
投資では、流れについて行くことも必要ですが、天井圏や底値圏では多数派と違うことを行う天邪鬼でなければならないこと、これが非常に難しいことなどを述べた覚えがあります。ただ、この人と反対のことを行う難しさは頭ではわかっていますが、人間は弱いものですから実際には非常に難しいのです。人と反対の行動をしなければならない時期があるということは、手ひどい失敗をして初めて骨身に沁みてわかるのです。投資を行う際はある程度の失敗を恐れてはいけません。失敗しても次に生かせばよいからです。
ファンドマネージャーは、いつまでも上がっている株ばかりをじっと持っているわけではありません。ベンチマークとなる株価指数に負けないことはもちろん重要ですが、次の相場の柱になりそうな株を静かに人知れず仕込むこともファンドマネージャーの重要な仕事です。買ってすぐ上がらなくてもよいのです。次の相場で大きく儲かるような銘柄を組み込みます。このため現在、上昇しているものを静かに鉋で削るように序々に減らしてゆき次の銘柄を人知れず増やしてゆきます。
この組み入れ銘柄の変更は、経済環境の変化を予測して行う場合もありますし、株価の材料の織り込み度合いを考えて行う場合もあります。株式市場に「大回り3年、小回り3ヶ月」という諺がありますが、3年間も上昇し続けるとかなりの材料は織り込まれていると考えるためです。これが後者の例です。私の経験では、3年以上上昇した株は上がりにくくなりますから、この諺は生きているといえるのではないでしょうか。また、下がり始めれば空売りをして利益の上乗せを図りますので、株価は大きく振れることになります。
ファンドマネージャーがこのように銘柄入れ替えを行ったり、下げ相場では皆が一斉に売りますので、個別銘柄の時価総額はブーム時と人気離散時では大きく違うことになります。
企業にとって時価総額を高めることが大切ですが、このように時価総額の変動があると時価総額が傾向的にどうなっているのかなかなかわかりません。好況から不況までのビジネスサイクルがありますが、そのビジネスサイクルの谷同士の時価総額を結んで、目先の動向にとらわれることなく長期の上昇トレンドを考えそのトレンド上にある場合時価総額の拡大と考えるのも一つの方法と思います。
わが国の大手鉄鋼メーカー3社が持合いの強化を協議しているとの新聞記事がありました。その前の日にトヨタグループが豊田自動織機への出資比率を50%超に引き上げたとの記事がありました。
鉄鋼3社もトヨタグループも買収への備えを強化したものですが、株価の反応は異なります。持合い強化を打ち出した鉄鋼3社の株価の下落が目につきます。つい先日、世界最大の鉄鋼メーカーのミタル・スチール社が世界第2位のアルセロール社の買収に乗り出したという記事は記憶に新しいことと思います。このままでいけば、早晩、高い技術力を持つ日本の鉄鋼メーカーも買収の対象となる可能性がありますから、その対応策として協同して買収に対抗しようということだと思われます。
昔 “鉄は国家なり”といわれました。その感覚からすると、鉄鋼メーカーが買収され外資の軍門に下ったら大変ですが、投資家はこの買収防衛策をどのように評価しているのでしょうか。株価は企業の通信簿ですから、下がったことはマイナスの評価を下したといえます。ただ、株価の変動要因にはいろいろありますから、たまたま証券会社が鉄鋼メーカーの収益を下方修正したことにあるかもしれませんし、上がり始めた他の業種への乗換えで下がっているかもしれません。ですから100%この記事による下げとはいえないと思います。
そこで、持合いのディメリットを考えて見ましょう。ただ、持合いで資金が固定してしまいますし、持合いから入ってくるキャッシュフローは利回り1%程度の配当金でしょう。すると持合いは割りの合わない後向きの投資ということになります。投資家は有効に企業の経営資源が使われ将来のキャッシュフローが増大することを望みますから、持合いの復活にはよいイメージがないといえるかも知れません。メリットとしてグループでの結束の向上や浮動株の減少でしょう。ただ、今回、下げのタイミングとあまりにもあっているので持合いの復活がマイナスに作用しているといえるかも知れませんし、株価が下げたがっていた時に単に引き金になっただけとも考えられます。
買収防衛策の内容が下げの主因かも知れませんが、その場合、他の持合いを公表した企業のその後の株価とその公表した内容から、投資家はどのような内容ならば評価するのかわかるかもしれません。ただ、前述のように株価の変動要因はいろいろありますし、それぞれ株価の位置によって変動要因の影響力も異なりますから、統計的な処理が必要になるかも知れません。
アナリストは、企業を分析し業績を予想するのが使命です。このためには当然のことながら経済の知識が必要ですし、担当業種の特徴、その企業の特徴等を知らなければなりませんし、財務分析も行わなければなりません。
以前にも書きましたが、それだけでは十分な分析ができません。財務諸表に書いていないことが重要なのです。それが経営者の資質ですと書きました。あるサイトをみていたら、企業評価に関する調査結果がでていました。世界的なPRコンサルティング会社が実施した調査の結果です。
その結果ですが、世界のアナリストは「経営者の質」を最も重視しているということです。「経営者の質」が投資判断の際に最も重視する事柄で、2番目が「公約の実現」、3番目が「業績」となっています。その他の投資判断の要素として「事業戦略」、「成長性」、「企業統治・透明性」があり、この順で重要度が減っています。また、最高経営責任者のリーダーシップの判定材料は「業績拡大に向けた努力」だそうです。私の感覚では、日本のアナリストの場合は1番重要視するのが「業績」で、2番目が「成長性」、3番目が「経営者の質」となると思いますが、投資判断の要素として「業績」、「経営者の質」が入っているのは納得がゆくものです。「業績拡大に向けた努力」をカリスマ的に行う経営者は評価が高くなり、投資判断に大きく影響するということは納得がゆきます。多少の地域差はあると思いますが、洋の東西を問わず、アナリストの感覚は同じようなものであるという感を強くしました。
投資家の注目を集めるものの一つに企業の中期計画があります。この中期計画ですが、なるべく具体的な数字を盛り込んだ計画は投資家にとってわかりやすいこともあり評価されます。この中期計画も最近は内容が変わってきました。
1990年代後半の中期計画ではバブル経済の崩壊から、3つの過剰に悩み続けた日本企業を象徴するように過剰負債の削減、人員削減、資産の集中と選択を掲げる企業がほとんどでした。水ぶくれのふやけた体質から贅肉をそぎ落とした、筋肉質の体質にもっていこうとする中期計画でした。ところが、その合理化も一段落してくると次は企業の成長路線を積極的に探すことになります。ですから自社の強みを生かした企業のキャッシュフローを増加させるプロジェクトを模索し、積極的に取り組もうとする中期計画に変貌しています。現状はデフレ経済から脱却しつつありますから、今後はこのような中期計画の発表が増えるものと思われます。
ずっと以前の中期計画には、シェア日本一を目指すとか、売上日本一を目指すなどの表現があったような記憶がありますし、そのシェア日本一、売上日本一のためには儲からなくてもよいというような風潮があったように思えました。シェアや売上至上主義が影を潜めて久しいですが、中期計画の中身も時代を投影するものです。今回はポシティブなより積極的な内容が多くなると思います
これまでの徹底した合理化で利益が出やすい体質になっていますから、次の成長路線が軌道に乗るのは早いかも知れません。