人生経験の必要性
ファンド運用を行っていたときのことです。アナリストならば自分の守備範囲の企業、ファンドマネージャーならば、保有している株式の発行会社や興味のある企業の説明会にでむいて少しでも必要な情報を得ようと努力します。
その際、定量的な情報の方がわかりやすく、説得力があるためどうしても重要視してしまいますし、レポートにしやすいため歓迎されます。例えば利益率の推移や製品の売れ具合、新製品のマーケットシェアなどのようにです。ですから経営者の経営理念や信条などの定性的なものは、よほどのインパクトがない限り頭に残りません。まして経営者の何気ない一言に共感できるようになるにはそれなりの人生経験が必要になるのです。新興企業を見る場合、経営者の資質が大きな比重を占めるのです。ですから、新興企業をみる場合は、経営者を知ることの方が定量評価より必要かもしれません。
昔、ある新興の量販店の社長が、会社説明会で何気なく「売上は利益である・・・。」と述べました。当時、私は、「何をいっているのだ。売上が利益であるはずがないではないか。利益は売上から経費等の費用を除いたものが利益だ。」と生意気にも思っていました。ところが、独立してみて初めて売上がなければ利益は生じない、売上さえ立てられれば、経費はどうにでもなる、最悪の場合は自分でやればよいということがわかったのです。独立して初めて「売上は利益だ」という本当の意味がわかりましたし、その社長が若いときに苦労したこともわかりました。その苦労が、何気ない一言にでていたのです。ですから、あるていど人生経験をつまなければ経営者の発言の本当の意味はわからないし、共感が湧き上がらないものだと思います。