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2005年12月 アーカイブ

2005年12月01日

人生経験の必要性

 ファンド運用を行っていたときのことです。アナリストならば自分の守備範囲の企業、ファンドマネージャーならば、保有している株式の発行会社や興味のある企業の説明会にでむいて少しでも必要な情報を得ようと努力します。
 その際、定量的な情報の方がわかりやすく、説得力があるためどうしても重要視してしまいますし、レポートにしやすいため歓迎されます。例えば利益率の推移や製品の売れ具合、新製品のマーケットシェアなどのようにです。ですから経営者の経営理念や信条などの定性的なものは、よほどのインパクトがない限り頭に残りません。まして経営者の何気ない一言に共感できるようになるにはそれなりの人生経験が必要になるのです。新興企業を見る場合、経営者の資質が大きな比重を占めるのです。ですから、新興企業をみる場合は、経営者を知ることの方が定量評価より必要かもしれません。
 昔、ある新興の量販店の社長が、会社説明会で何気なく「売上は利益である・・・。」と述べました。当時、私は、「何をいっているのだ。売上が利益であるはずがないではないか。利益は売上から経費等の費用を除いたものが利益だ。」と生意気にも思っていました。ところが、独立してみて初めて売上がなければ利益は生じない、売上さえ立てられれば、経費はどうにでもなる、最悪の場合は自分でやればよいということがわかったのです。独立して初めて「売上は利益だ」という本当の意味がわかりましたし、その社長が若いときに苦労したこともわかりました。その苦労が、何気ない一言にでていたのです。ですから、あるていど人生経験をつまなければ経営者の発言の本当の意味はわからないし、共感が湧き上がらないものだと思います。

2005年12月02日

IRの評価がでる時期

株式市場の堅調が続いています。2003年4月の底から日経平均は2倍になっています。指数が2倍なのですから個別銘柄では4−5倍になったものもあるはずです。
株式市場が大底を打ち反転する場合は、まず、売られすぎの反動で全ての株が上昇します。おさえられたゴム鞠がリバウンドするようにです。ですから最初の反転のテーマは割安感なのです。ひとあたり上昇した後、つまり反騰して株式の割安感がなくなると、主役とテーマが交代します。割安株に代わって成長株が主役になります。テーマもその時流にあったものとなります。この時期ポートフォリオのコアになる株式を考える時期でもあるのです。
この割安株から成長株、優良株へのシフトはIR活動の側面からみると、また違った面がでてきます。株式の反騰局面の初期では全銘柄が上昇します。この時期はIRを真剣に行ってきた企業の株価も真剣に行ってこなかった企業の株価も上昇するのです。しかし、割安感がなくなって投資家の目が事業の収益性、成長性にゆくと、投資家の目はIRを真剣にやってきた企業とそうでない企業とを選別すると思います。これまで経営者が投資家と真剣に向い会ってきたかどうかで投資家の評価は違ってくるはずです。これは同業他社と違う動きをするなどで評価がわかります。
株式市場は指数ベースで大幅に上昇しましたが、これからは企業のIR活動を投資家がどう評価しているかわかる時期にさしかかっているのではないでしょうか。

2005年12月12日

アニュアルレポートなどの資料の充実が鍵

 外国人投資家の旺盛な日本株買いが続いています。日経平均ベースで18,000円の声も出ていますが、この株価上昇の原動力の一つが外国人投資家の旺盛な買いです。外国人投資家は巨額の資金を運用しますから、投資対象は大型株が中心になります。しかし、ここにきて中型株にも手を伸ばしてきているそうです。
 外国人投資家の活発な買いが続くようですが、ここにきて困ったことが起こっているそうです。それはバブル経済の崩壊以降、10年以上日本株を売却し続けてきたため、日本株の比率がまだ低いということですが、比率を高めようと思っていてもファンドマネージャーに日本企業に対する基本的な知識が不足しているそうです。例えば何を作っているのか、マーケットシェアはどうなのかという個別知識が欠落しているというのです。また、ファンドマネージャーも代替わりしているため、日本株をこれまで買ったことがないファンドマネージャーもいるそうです。ですから、日本を代表する企業ならば投資家も何を作っているか知っていますが、中堅企業についてはわからないのが現実ではないでしょうか。
 あるファンドマネージャーによるとこのような事情があるため、アニュアルレポートなどのようなビジュアルな説明資料のニーズが高まっているというのです。株式価値を高める上から、裾野である投資家層を厚くする必要がありますが、そのためにはまず、基本的な資料であるアニュアルレポ−トやファクトブックを充実させる必要があると思います。

2005年12月13日

外国人投資家への対応

 外国人投資家について述べてみます。彼らは株式を買った後、その企業業績の変化はどうなのか、予想利益を上回る可能性はあるのか、投資環境に変化はないのか等いろいろなことを考えなければなりません。ファンドマネージャーは株価が下がればナンピンして平均コストを下げようか、見切売りをしようか、上がれば買い乗せしようか、売却しようか常に判断を迫られます。買った苦しみがこれから始まるのです。
 そのときに判断の基準になるのがアナリストの判断ではありません。アナリストの判断は目安です。実際に企業を訪問して気になる点を聞き、情報を直接集め自分で納得して結論をだすことが大切なのです。百聞は一見にしかず、です。ですから、現在、株式を買っている外国人は、来年春先から注目している企業や、すでに投資している企業を訪問して手持ちの情報と確認するはずです。
 その際、IR担当者に会いますが、先方は投資のプロですから手厳しい質問をするはずです。その答えが今後の投資を決定しますから、できる範囲で誠実に答える必要があります。言葉はわからなくても誠実度が態度でわかることが多いのです。また、IRの専門の担当者がいればよいのですが、他の部門の人が兼任している場合、質問に答えるのに手間がかかったりするとイメージダウンになりかねません。そのような場合、外国人投資家の想定質問集などを作って来春に向けて準備するのも一法かもしれません。
 そして会ったファンドマネージャーに新しい情報をメール等で供給し続けることが大切です。このようにまめに対応すれば企業イメージのアップ、企業価値の上昇にもつながると思います。

2005年12月16日

株式の議決権のアドバイザー

 ほとんどの企業の決算が3月決算です。3月決算の企業では決算を締めてから3ヶ月以内に株主総会を行わなければなりません。その株主総会の2週間前までに株主招集通知を株主の手元に届けなければなりません。ですから6月上下旬は添付資料の発送等でてんてこ舞いの忙しさでしょう。
 さて、株主招集通知には、株主総会の議題となる議決案がついています。外国人投資家はどのようにこの議決権の行使をしているのでしょうか。外資系のファンドマネージャーに聞いてみました。私が以前運用していたファンドでは、少なくとも10年前までは今ほど議決権の行使について依頼はありませんでしたし、今ほど問題にならなかったため、議決権の行使は全く無視していたのです。現在、議決権の行使は、投資家がその企業の経営に対してどのように考えているか等、株主の意思、意向を知る上で重要な役割を果たしますから、議決権を行使してもらいたいと企業サイドでは思っているはずです。
 そこで、聞いてみたところ、次のような答えでした。まず、On-shoreのファンドの場合は、アドバイザー機関の意見にそって議決権を行使するのが一般的だそうです。Off-shoreのファンドは現地でどのようにしているか不明ですが、アドバイザー機関の意見を反映して議決権を行使している可能性はある、とのことでした。
 「将を射んと欲すれば、まず、馬を射よ」との格言があります。外資系ファンドの議決権行使に関して、その議決権行使のアドバイザー機関からアプローチするのも一法でしょう。まずは、友人との会話から思ったことです。

2005年12月19日

議決権行使のための情報量とは

 続いて、外国人投資家が議決権行使を行使するためにはどの程度の情報が必要なのかを考えてみましょう。株主招集通知を外国人投資家に配布しますが、その株主招集通知の英語版にはいろいろあります。英語での株主招集通知は自由裁量ですので、これといった基準があるわけではありません。ですからいろいろなバリュエーションがありますが、大きく分けると3種類になります。
� 全て日本の投資家に配る株主招集通知と同じ内容のものを英語に横倒ししたもの
� 財務諸表は載せているが、営業報告書がないもの
� 財務諸表はなく、議決権行使の案内のみのもの の3種類です。
 日本語の株主招集通知を全て翻訳するのは大変な時間とコストがかかります。しかし、充分な情報がなく簡単すぎるのも行使の際に問題になります。ですから、実際どの程度の情報があれば議決権の行使が行えるのか、を知る必要があります。
業種や企業がおかれている状況等によってファンドマネージャー等が必要とする情報量は必ずしも同一ではありません。よって各企業は、自社に関してファンドマネージャーが権利行使のために必要としている情報がどの程度なのかを知る必要があるのです。

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