持合いの復活をどう評価する
わが国の大手鉄鋼メーカー3社が持合いの強化を協議しているとの新聞記事がありました。その前の日にトヨタグループが豊田自動織機への出資比率を50%超に引き上げたとの記事がありました。
鉄鋼3社もトヨタグループも買収への備えを強化したものですが、株価の反応は異なります。持合い強化を打ち出した鉄鋼3社の株価の下落が目につきます。つい先日、世界最大の鉄鋼メーカーのミタル・スチール社が世界第2位のアルセロール社の買収に乗り出したという記事は記憶に新しいことと思います。このままでいけば、早晩、高い技術力を持つ日本の鉄鋼メーカーも買収の対象となる可能性がありますから、その対応策として協同して買収に対抗しようということだと思われます。
昔 “鉄は国家なり”といわれました。その感覚からすると、鉄鋼メーカーが買収され外資の軍門に下ったら大変ですが、投資家はこの買収防衛策をどのように評価しているのでしょうか。株価は企業の通信簿ですから、下がったことはマイナスの評価を下したといえます。ただ、株価の変動要因にはいろいろありますから、たまたま証券会社が鉄鋼メーカーの収益を下方修正したことにあるかもしれませんし、上がり始めた他の業種への乗換えで下がっているかもしれません。ですから100%この記事による下げとはいえないと思います。
そこで、持合いのディメリットを考えて見ましょう。ただ、持合いで資金が固定してしまいますし、持合いから入ってくるキャッシュフローは利回り1%程度の配当金でしょう。すると持合いは割りの合わない後向きの投資ということになります。投資家は有効に企業の経営資源が使われ将来のキャッシュフローが増大することを望みますから、持合いの復活にはよいイメージがないといえるかも知れません。メリットとしてグループでの結束の向上や浮動株の減少でしょう。ただ、今回、下げのタイミングとあまりにもあっているので持合いの復活がマイナスに作用しているといえるかも知れませんし、株価が下げたがっていた時に単に引き金になっただけとも考えられます。
買収防衛策の内容が下げの主因かも知れませんが、その場合、他の持合いを公表した企業のその後の株価とその公表した内容から、投資家はどのような内容ならば評価するのかわかるかもしれません。ただ、前述のように株価の変動要因はいろいろありますし、それぞれ株価の位置によって変動要因の影響力も異なりますから、統計的な処理が必要になるかも知れません。